魔王
音源はリビングにあった。
背の高い、明らかにヨーロッパ系でちょいワルな感じの男と、年を重ねても尚美しさを漂わす、日本人の女がすごい形相で言い争っている。
「誰に向かってそんな口聞いてんだヨー!ワタシのお陰でメシが食えてんじゃねーのかヨー!」
「あのー、帰ったんだけど」
「はッ!悠楽が立派な職に就いた今となってはそんな古臭い言葉ァ通用しないんだよ!アンタなんかより遥かに安定した収入が見込めるじゃないか!」
「その安定した収入の人が帰ってきたんだけど」
「じゃあ逆に聞くけどヨー!悠楽をここまで立派に育て上げられたのは明らかにワタシによる所がデカいじゃないかヨ!感謝っていう感情が無いのかヨー、アナタには!」
「感謝してるから早く気づけ」
「何抜かすかと思えば笑わせんじゃないよ馬鹿が!アンタ、パチンコ行ってばっかで育児にはちっとも手ェ出さなかったじゃないのさ!あの子を立派に育て上げたのはこの私だよ!」
「帰ってきたって言ってんだろ、とっとと気づけや」
…悠楽さん、残念だけど全く聞こえてないね。
背の高い、明らかにヨーロッパ系でちょいワルな感じの男と、年を重ねても尚美しさを漂わす、日本人の女がすごい形相で言い争っている。
「誰に向かってそんな口聞いてんだヨー!ワタシのお陰でメシが食えてんじゃねーのかヨー!」
「あのー、帰ったんだけど」
「はッ!悠楽が立派な職に就いた今となってはそんな古臭い言葉ァ通用しないんだよ!アンタなんかより遥かに安定した収入が見込めるじゃないか!」
「その安定した収入の人が帰ってきたんだけど」
「じゃあ逆に聞くけどヨー!悠楽をここまで立派に育て上げられたのは明らかにワタシによる所がデカいじゃないかヨ!感謝っていう感情が無いのかヨー、アナタには!」
「感謝してるから早く気づけ」
「何抜かすかと思えば笑わせんじゃないよ馬鹿が!アンタ、パチンコ行ってばっかで育児にはちっとも手ェ出さなかったじゃないのさ!あの子を立派に育て上げたのはこの私だよ!」
「帰ってきたって言ってんだろ、とっとと気づけや」
…悠楽さん、残念だけど全く聞こえてないね。