はなびら
起
いち
「いいお月サンだねぇ~」
窓辺に腰をかけて、空をあおぐ。
「またですか?」
ちっさいため息をもらしながら、あきれ顔する。
「チズは月が嫌いかい?」
チズはあたしの妹分。
「嫌いじゃないけど…お姉サンみたいに好きでもない…」
「ふふ」
「笑わなくても…」
チズは下をむく。
「ごめんねぇ~?」
「いえ…」
「あたしはねぇ~月が嫌いなんだよ」
「えっ?」
今夜みたいなまんまるな月。
「いつも見てるのに?」
目をまるくして、チズが聞いてくる。
「いつも見てるからだよ~」
「わからない…」
「わからない方がいいよ~」
そう。
わからない方がいい。
知ってしまうと………
「花魁用意は出来ましたか?」
廊下から声をかけてくる。
「出来ましたよぉ~」
「お客様がお待ちですよ?」
「今行きますよぉ~」
窓辺から腰をあげる。
「チズ行くよ?」
「はい!」
窓辺に腰をかけて、空をあおぐ。
「またですか?」
ちっさいため息をもらしながら、あきれ顔する。
「チズは月が嫌いかい?」
チズはあたしの妹分。
「嫌いじゃないけど…お姉サンみたいに好きでもない…」
「ふふ」
「笑わなくても…」
チズは下をむく。
「ごめんねぇ~?」
「いえ…」
「あたしはねぇ~月が嫌いなんだよ」
「えっ?」
今夜みたいなまんまるな月。
「いつも見てるのに?」
目をまるくして、チズが聞いてくる。
「いつも見てるからだよ~」
「わからない…」
「わからない方がいいよ~」
そう。
わからない方がいい。
知ってしまうと………
「花魁用意は出来ましたか?」
廊下から声をかけてくる。
「出来ましたよぉ~」
「お客様がお待ちですよ?」
「今行きますよぉ~」
窓辺から腰をあげる。
「チズ行くよ?」
「はい!」