道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「おかえり。アルク・・・。」


 リビングでタバコをくわえ、火をつける。


 ポケットに手を突っ込んだ右手には、拳銃が握られていて、いつでも発砲が出来る状態だ。


「久しぶりだね、海人。」


 温かい物腰。


 だけど、抜けきれない殺気がこっちまで届いている。


 嘘が下手。


 いや・・・二年と言う決して、短くない歳月を共に過ごしてきたのだ・・・。


 ある程度、見抜けるようになってしまうのは、仕方ないか・・・。


「そうやな・・・一週間、どこに行っていたんや?」


「色々野暮用でね・・・。」


 ・・・野暮用・・・か・・・。


「そうか・・・。」


 その言葉が合図。


 お互いの目が一瞬合う。


 それで十分。


 それだけですべてが分かる。


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