道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「家の中で発砲するな!ラーメンどんぶり割れたら、どうするねん!変えがないんやぞ!」


 言いながらも、海人は、すぐさまに反撃をする。


 椅子を盾にとって、すぐに発砲。


 だが、致命傷を、与えるには至らない。


 いや・・・狙えたはずだ。


 くっ・・・情でも移ったか・・・情けない・・・。


「そっちこそ、その椅子、俺の特等席だろう!盾に使うな!」


 言いながらも、アルクの方もテーブルを立てかけ、ソレを盾に銃を発砲する。


 狙いが外れて、窓が割れた


「うるさいわ!だったら、銃をおろせ!そして、窓の修理代払え!」


「オマエが避けなければ、割れなかったよ!いいから、その椅子返せ!!」


 不毛な口げんかとは、裏腹に、お互いの銃弾はやまない。


 お互いにクセが分かっている。


 お互いに、どれだけの実力を持っていて、ソレに対して、どのように対処すればいいのか、分かっている。


 この戦いは・・・文字ごとく、一瞬でも気が緩んだほうが、負ける戦い。


 長期戦は必須。


 だが、そんな悠長なことは言ってられない。


 もしこんな状況で、もしタバコを買いに行った、あいつが戻ってきたら・・・。


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