道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「もう十分だろう?銃をおろせ・・・海人さん・・・。」


 しかし、二人の戦いは、どこからか入ってきた、第三者のせいで、中断される。


 油断したわけじゃない。


 ・・・・・・だが、正直アルク相手に、他のところまで気を配る余裕が無かっただけだ。


 声のした方向に顔を向けると、でかいライフルの銃口が自分を狙っているのが見えた。


 虎神の軍服をラフに着こなしている中年の男性。


 歳は自分たちより、15~6歳ぐらい上か・・・


「・・・水練・・・。」


 同じように、銃をおろしたアルクの口から、名前が漏れる。


「遊びに来たわけじゃないんだ。とっとと、捕らえろ!アルク上等兵!」


 ・・・・・・・・上等兵か・・・。


 いいご身分になったものだな・・・オマエも・・・。


「・・・・・・・・ハイ。」


 さすがに、この状況で抵抗できる手段は無かった。


 海人はおとなしく両手を挙げる。


 手錠をかけたのは、アルク本人。


「では、これより危険因子Aクラスの大罪人、通称『スラムキング』を虎神軍法第67条に従い、連行する。」


 水練の形式じみた、言葉遣い。




 ・・・・・・これにより・・・海人は、虎神軍の捕虜となったのである・・・・。
 


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