道化師と菫の花/GIADOOLⅣ
小さく、狭い部屋。
別に海人は、閉所恐怖症でもなければ、暗闇恐怖症でもないから、こんな場所に入れられようと、精神的におかしくなることはないが、やはり居心地がいいとは思わない。
「せめて・・・タバコぐらいあればなぁ・・・。」
思わず言葉に出た。
「ほらよ。」
そんな言葉を聞き入れたのかどうか、分からないが、どこからか出てくる、タバコが一本。
まぁ、声からして、誰が渡してくれたのか、考えるまでもないのだが・・・。
「やけに良い身分になっとるな・・・。」
イヤミをいいながらも、ちゃっかりアルクが差し出すタバコは受け取る。
「だったら、お前もなってみるか?軍人とやらに?最高だぜ。人を殺して金もらうんだ。」
同じように、アルクもイヤミで返しながらも、ちゃっかり、海人がくわえたタバコに火をつける。
自分もタバコをくわえ、戦艦の捕虜収容室の中に二本の紫煙が舞い上がる。
「遠慮しておくわ・・・ギアの腕には自信がないのでな・・・。」
一応、軽くイヤミ。
別に自惚れるわけではないが、自分のギアが常人外れていることぐらい分かっていての言葉。
「言ってろ。」
そんな言葉で返された。
「・・・・・・・・・・・・所で、何が目的や?」
急に声のトーンを下げて声を上げる。
ここからが本題。
こいつが、何の目的もなくこんなことをするとは、最初から思ってはいない。