道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「・・・・・・・・・・・なぁ、海人・・・・・人はどうして、生きるのだと思う?」


 しかし、こいつから帰ってきた言葉は、あまりにスットンキョンな答えだった。


「は?オマエ、いつから哲学に目覚めた?」


 そんな言葉も出てくるというものだ。


「いいから、答えろよ・・・。」


 しかし、彼の中では案外重要な質問だったらしい。


 この歳になって思春期かよ・・・まったく・・・。


「・・・・・・・・・・・そんなもの・・・死にたくないからに決まっているやろう?」


 どうして、生きている・・・と質問に対してはこれ以上の答えは存在しないだろう。


 誰も、生を強要したりはしていない。


 誰も、オマエに「生きていろ」と命令を下しているわけではない。


 ならば、オマエが生きている理由は、オマエがまだ死にたくない・・・そう思っている以外何者でもないのだ。


「オマエらしいよ。」


「哲学的やろう?」


「まったくだな。」


 アルクが笑った。


 アルクが笑ったから、自分も笑った。


 ひとしきり、二人で笑いあった後・・・。


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