道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「・・・・・・・・・・・。」


 返す言葉がすぐには見つからなかった。


 いや、返しても良かったのかもしれないが、それは、あまりに無粋な気がした。


 それでも、海人は大きくタバコを一息つくと・・・。


「なら・・・オマエは菫を一度でも、人工知能にしたいと思わなかったとでも言う気か?」


 出してはならない名前だと分かっていながら、言わざる得なかった。


「だからこそ、悪魔だというんだよ・・・。誰だって思うさ。死んだ人間ともう一度会えたら・・・ってさ・・・。」


 だから、人工知能を許すわけには行かない。


 誰だって、その魅力には勝てないだろう。


 誰だって、その甘美な魅力に勝つことは出来ないだろう。


 悪魔といわれようと、人道から外れているといわれようと・・・。


 どんなカタチであれ、死んだはずの人間と話せるのだ。


 伝え切れなかった言葉を伝えて、聞けなかった答えを聞ける。


 ・・・・・そんな魅力に勝てるヤツがいるものか・・・。


「だから、オマエはそれを破壊すると?」


「わからないよ・・・それが正しいのかもな・・・。」


 だからこその、先ほどの質問か・・・。


 オマエは・・・なぜ、生きているのか・・・・・。


 いや・・・そもそも・・・・・・。





 ・・・・・・・・生きているというのは、どういうコトなのか・・・・・。





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