道化師と菫の花/GIADOOLⅣ
傭兵
「久しぶりだな、アルフレッド・・・。その右目はどうしたんだ?」
やっぱり、気づかれたか・・・。
相変わらず、鋭い男だよ・・・アンタは・・・。
「人違いじゃないのですか?そんな人間、俺は知らない。」
15年前に別れたままなのだ。
当時の俺はわずか10歳。
そっちは、大して変わっていなくても、こちらは十分に歳を取った。
とぼけていれば、気がつくはずが無い・・・。
「そんな嘘でごまかせると思うなよ。15年たとうと、オマエの臭いはまだ覚えているんだよ。」
・・・・・・・・気持ち悪いな。
「そっか・・・でも、俺はアンタのことは、まったく覚えちゃいないんだ。」
そこまで口にして、コメカミに何かをぶつけられる。
見る間でもない。
こいつの愛用している拳銃、マグマム44の銃口だ。
そういえば・・・こいつに、銃口を突きつけられるのも、久しぶりだな・・・。