緋い罪
掠める口付け
背後から男に抱き締められれば紅は苦笑し、男の頬に手を添えて口吸いを返す。
項(うなじ)にキスを贈られ、紅は艶やかな声を上げる。
紅から香る甘やかな香油に、男は体に熱が籠もるのを感じる。
外で声を掛けられた女郎達の香りとは全く違うと感じるのは、きっとこの男の独特の性癖だ。
隙間から覗く窓からは、海の細波と賑やかな音楽。
折角羽織った打掛が畳に滑り落ちた時には、禿達は部屋を出て行った後だった。
柔らかな布団からは陽溜まりの匂いがした。