片翼の天使
あー気持ちよかった。
上機嫌でベッドルームに戻る。
そのまま男の横に座り甘えるように頬を寄せた。

「何だ。眠いのか?」
「うん…眠い…」

ワインの後で長風呂なんて大失態だ。
瞼は今にも閉じそうになってる。

「じゃあ寝るか」
「ほぇ?」
「何て声出してんだ」

ワインが顔だけに回ったかのように真っ赤になる。
男は子どもにするように頭を撫でた。

「ほら。俺も寝るからベッドに入れ」
「あの…シないの?」
「興味ない。眠いからここに来ただけだ」

眠気もぶっ飛ぶくらいの衝撃。
こんな奴初めてだ。
据え膳食わぬは男の恥と言わんばかりに襲いかかってこないなんて。

「シて欲しいのか?」
「ま、まさか!!寝るわよ!!」
「はいはい。おやすみ」

セックスなしで寝るなんて何年ぶりだろう?
年月を数えるのが羊を数えるのにも似て。
あっという間に眠りについた。
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