片翼の天使
平穏な日々
「えー!?そんな羽振りのいい奴どこで引っ掛けたの!?」
「…声でけぇよ」

愛人契約を結んだ翌日。
平日が休みのマキに合わせて久々に昼間の街に出た。
普段入らないブランドショップの袋を幾つも下げるあたしに不信感を抱いたらしい。
今はオープンカフェで尋問を受けてる真っ最中。

「いいなぁ。紹介してよ」
「あたしだけで手一杯らしいよ」
「羨ましい。けど100万だもんね~」

渋々納得したようだ。
いじけながらこの寒いのにアイスティーを啜る顔は同性のあたしから見ても可愛い。

「じゃあバイト辞めんの?」
「続けるよ」
「だって…あ、そっか。あんた夜が嫌いだもんね」

あたし達は夜の活動をバイトと呼ぶ。
ふたりの中に自然と作られた暗黙のルール。
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