月とバイオリン
 四日めの朝である。

まるで何年もその暮らしを続けていたように、三人は朝食の席に着いていた。

眩しすぎる光を遮るために、東側の窓のカーテンは半ばまでしか開けられない食堂。テーブルにいけられた黄色い水仙が、真っ白なポットと引き立てあっている。

六月には黄水仙、女王陛下の御花だ。


 メアリーアンは暖炉の上の飾り時計に目を向けると、残っていたコーヒーを飲んで、立ち上がった。

「さて。それでは行って参ります」

各国における自分の年齢を数えていたシェリーは、指を折るのを止め、

「メアリー、お仕事忙しそうね。何かあったの? 特別なこと」

「新病院の落成式典では、シェリーは喜ばないでしょう? おもしろい話はピーターに聞いて。けれど、学校には遅れないようにね」

ピーターは笑い、長い人生の中のフランス年齢を探るのを中断する。

扉へと向かいながらメアリーアンは、早口で続けた。
< 14 / 125 >

この作品をシェア

pagetop