月とバイオリン
「幽霊かと思って怖かったですよー、かなり。真夜中に白い服が風にひらひらしていたもんだから、御者びっくり。正体がわからないままだったら、今頃新しい人間探しているところですね。私が降りて見上げてみれば、シェリーちゃんだってことで、あれは私の知り合いだから、生身の人間だって説き伏せて、無事出発させたんですが、また今思いつきました。シェリーちゃんがあの時点で死んでいたって可能性もあったわけだ」
「ジェラルドは幽霊容認主義ね。御者さんはとっくに考えついていて、怯えているかも知れないわよ。私、お会いしましょうか? 生きてるんですって」
「あ、ほんと? 助かるなー」
「シェリー」
外れていく話を引き戻そうと、私はきっぱり言ってみた。
「どうしてそんな場所にいたのか、聞かせて欲しいのですけれど」
「ジェラルドは幽霊容認主義ね。御者さんはとっくに考えついていて、怯えているかも知れないわよ。私、お会いしましょうか? 生きてるんですって」
「あ、ほんと? 助かるなー」
「シェリー」
外れていく話を引き戻そうと、私はきっぱり言ってみた。
「どうしてそんな場所にいたのか、聞かせて欲しいのですけれど」