月とバイオリン
「シェリーちゃんはすげぇばーさんまで到達するだろうから、フレディ君はすげぇじーさんになるまで生きなきゃならないわけか。あまりにも想像したくない未来ですな、それはそれは」

「いないと思って好きなこと言うのね。フレディはいくつになっても素敵なままよ」

「だってじーさんですよ」

「天下一のジェラルド様だって、年をとったらじーさんよ。同じ年で比べたら、絶対っ、私のお兄様の方が素敵だと思う。絶対」

「……私、早めにお暇するよう努力します」

「賢明だな」

 敗北を認めたジェラルドに、お兄様はとどめを刺した。

効果を満足そうに確認すると、私に笑いかけながら立ち上がり、

「お嬢様方と過ごしていると、時間も忘れてしまうね。確実に遅刻だ。ジェラルド」

「行きますかね。短い人生、楽しまないと」
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