月とバイオリン
 私はやっと思っていた。

これでは役には立てやしない。

自分はシェリーの助けになろうと考え行動したらしいが、もし今彼女に何かが起きたとしても、この状態では動けはしない。

シェリーの話をなぞり天窓へとやってきたわけだけど、目的が違うという部分については考えないままだった。

シェリーは演奏者の姿を目で見るために登ったのだ。

そして今は話をするために、部屋に向かったのだ。

私はここで、いったいなにを目的にしているのだろう。

答などない、情けなくなる。


 戻ってやり直そう。

シェリーが中に入っているのだから、後を追えば私もあの場に立てるはず。



 考え向きを変えようとした時に、体のどこかが正しくない方向にとずれて滑った。
















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