月とバイオリン
「なんだって?」

「あなたがいなかったなら、リースはここで死んでしまっていたかもしれないもの。リースは私のとても大切な友達なの。あなたが生きていてくれたことに感謝しなくちゃ、ウィリアム」


 寄せられた眉の皺に、シェリーは澄まして種を明かす。

足元に置かれたヴァイオリンケースを手で示し、

「ウィリアム・ハロウズ。ケースに名札よ」

彼は。

ウィリアムは、低く応えた。

「僕がいなかったら、君たちはここには来なかったんじゃないか」

「本当ね、そうだわ」
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