先生、あなたのことが好きでした。
ガチャッ……
「何だ、まだ帰ってないのか?」
「先生……」
あたしの前に立っているのは、紛れもなく菅野先生だった。
今がチャンス……。
誰かがあたしにそう言った。
「先生、あのね!これ……」
勇気を出して、ケーキを差し出す。
「悪りぃ……」
え、何。
断られた?!
「あのさ、今からトイレ行くから、後でもらってもいい?」
なーんだ、トイレか。
って、あたし最悪じゃん!
先生が手ぶらで……なんて、トイレしかないじゃん!
なのにケーキを渡そうとしたなんて……。
「じゃ、ちょっと待ってて」
待ってて、だって。
先生が待っててなんて言ってくれたぁ。
あたし、ずっと待っちゃうよ。
そんなことを考えながら、先生を待った。