先生、あなたのことが好きでした。



「はい、どうぞ!」

  あたしはトイレから出てきた先生に、ケーキを渡した。

「ありがとう」

  先生が喜んでくれてよかった……。

  でも……話題が、ない。

  話したいことは山ほどあったはずなのに、いざ話せるとなると何を話せばいいのかわかんない。

  ずっと何も話せないでいると、先生が口を開いた。

「あ、あのさ。俺言ったっけ?」

「何を?」


「塾、やめること」


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