先生、あなたのことが好きでした。



  いつもより重たく感じるドアをまた開ける。

  そして自分の名前の欄に……

  ……《菅野 祐介》

  またあの先生じゃん……。

  当分変わることはないだろうな……。

  あたしはまた、あの席に腰を下ろした。


「じゃ、テキスト出して~」

  また言われる、お決まりの言葉。

  そして始まる、地獄の授業。

  大袈裟かもしれないけど、あたしにはそのくらい嫌な授業だった。

  いつものように、問題を解いていた。

  そのときだった。

「なぁ、音楽とか何聴く?」

  急に先生に話しかけられる。

「え……?」

「いや、何聴くのかな、って」

  何よ急に……。

「……基本、何でも聴く」

「そうなんだ~」


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