病みに恋



何時間ここにいただろう

ここにいると純粋な気持ちになれた

ミネラルウォーターも2本目を口にした

そんな時、足音が聞こえた

暗くて見えないけど、こっちに近付いてきている


そして私の前で動くのを止めた

「蘭」

低音ボイスが私の耳に響く

月明かりで見るとそこにはルイがいた


驚きで声が出なかった

ルイの前から突然姿を消した罪悪感がまだ
私の心の中に残っていたから

なにもいわない私を、ルイは立ち上がらせて
抱きしめた

りるさんのことで感情を忘れてしまったかの
ような私は否定するわけでもなく、受け入れ
るわけでもなく、

ただただ抱きしめられていた

「話がしたい。俺んち来ない?」

「ゃだ」

人と話すことの久しぶりさに声に力がない

今日はこの夜空を見ていたかった

この夜空に私という存在を見られていたかった

< 93 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop