恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
「うわ、ひどい…」
「良くいえばアイツはスポーツマン。悪くいえばアタマの中まで筋肉で出来てるような男だから、クチより先に手が出ちゃうんだ」
「あたしもカレシとはフツーにケンカくらいはするけど、さすがに暴力はないな…」
「ソイツ、サイテーじゃね?」
突然、“眞鍋五朗”がクチをはさんできた。
彼も、あたし同様、成績下位者としてカメラの検品作業に回された四人のうちの一人だ。
眞鍋さんは天然パーマっぽいチリチリ頭が印象的で、初対面なのに、さっきからちょくちょく話しかけてくる30歳くらいの人の良さそうな男の人。
もう一人の男――“岩田正孝”と競馬の話をして盛り上がってるのかと思ったら、あたしらの会話を聞いていたみたい。
「俺さ、女に手をあげる男ってゼッテェ許せねぇよ。奈央ちゃん、そんな男とは別れたほうが絶対いいよ」
出逢ったばっかなのに、あたしのこと、いきなし“ちゃん付け”だし。
「そのつもりです。しばらく働いてみて、ココの仕事が続けられそうだったら部屋を出て寮に入ろうと思ってます」