恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-

「………」

「もし俺がこの時間に帰ってきてなかったら、行き先も知らせずに、黙ってそのまま俺の前からいなくなるつもりだったのか?」

「………」

「俺をナメるのもいーかげんにしろよっ!」


言い終わるか終わらないうちに良樹はグーであたしの顔を殴った。


「…ったァ」

こないだと同じところを殴ったねっ…。


「オイ、やめろよっ」

そこに、あたしと良樹のあいだに割って入ってくる眞鍋さん。


「なんだよ、おっさん」

「あいにくだが、女に手をあげるようなサイテー野郎に“おっさん呼ばわり”される筋合いはない」

「…んだとぉ。自分のオンナになにしようが俺の勝手じゃねぇかよ」

「奈央ちゃんはお前の所有物じゃない」

「いーや、所有物だ」

< 25 / 106 >

この作品をシェア

pagetop