恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
右手でハンドルを握り、左手でギアチェンジをしながら眞鍋さんが言った、
「実は俺、奈央ちゃんと美幸ちゃんが話してるのを隣りで聞いてて、いつも内心そーとーはがゆかったんだよな」
「え? なんで、あたしと星野さんが話してると、眞鍋さんがはがゆがるんですか?」
「だってさ、奈央ちゃんがカレシに暴力とかひどいことされてるの知ってて、美幸ちゃん、自分のカレシとの“のろけ話”ばっか、いつもしてんじゃん」
「…!」
「他人の気持ちを考えないような、あーいう無神経なこと言われて、奈央ちゃん、ハラ立たないのかな?って思うと、俺のほうがハラ立ったし、なんかスッゲェはがゆかった」
「へぇ、眞鍋さん、そんなふうに思ってくれてたんですか」
「あぁ。でもな、これでアノ暴力男とは終わったワケだし、これからはもう美幸ちゃんにのろけられて、遠まわしに見下されるようなこともなくなるってもんだよな」
「そーですね。でも……」
「でも?」
「良樹だって最初から、あーじゃなかったんです。最初はすごくやさしかったんです」
「………」