恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
つまり、眞鍋さんや星野さんはずっと今のラインで仕事ができるのに、あたしだけ、ようやく馴染みはじめたラインを去らなければならなくなった、ってこと―――
異動までに残された時間は二週間。
その間、あたしに与えられた使命は後継者の育成――つまり、自分の後釜に入ってくる新しい作業者への引継ぎだった。
でも、就業開始の10分前になっても、あたしの後継者の姿は見えなかった。
メーカーの社員さんが言った、
「夏目さんの工程に入ることになっている新しい人ですけど、通勤途中でなんか事故に遭ったみたいで、少し遅れて来るみたいですから、もう少しだけ待ってください」
「あ、はい…」
ずいぶんともったいぶった登場の仕方するじゃん。
あたしの中で期待と不安はどんどん高まっていったんだけど、結局、その人が現れたのは10時過ぎの休憩時間が終わってからだった。
社員さんに連れられてきた若い男の人。歳は22、3ってところかな?
指だけを出して右手を包帯でグルグル巻きにしているけど、そーいや、今朝ココにくる途中で事故ったって社員さんが言ってたっけ。
異動までに残された時間は二週間。
その間、あたしに与えられた使命は後継者の育成――つまり、自分の後釜に入ってくる新しい作業者への引継ぎだった。
でも、就業開始の10分前になっても、あたしの後継者の姿は見えなかった。
メーカーの社員さんが言った、
「夏目さんの工程に入ることになっている新しい人ですけど、通勤途中でなんか事故に遭ったみたいで、少し遅れて来るみたいですから、もう少しだけ待ってください」
「あ、はい…」
ずいぶんともったいぶった登場の仕方するじゃん。
あたしの中で期待と不安はどんどん高まっていったんだけど、結局、その人が現れたのは10時過ぎの休憩時間が終わってからだった。
社員さんに連れられてきた若い男の人。歳は22、3ってところかな?
指だけを出して右手を包帯でグルグル巻きにしているけど、そーいや、今朝ココにくる途中で事故ったって社員さんが言ってたっけ。