恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
「はい…」
「もし分からないこととかあったら訊いてくださいね……」
「はい…」
彼がすんなりと作業に取り掛かったから、あたしはその左後ろに立って、彼を監督することにした。
あたしが担当していた――つまり、今後、彼が担当することになる作業工程は、パソコンと連動した機械を操作し、レンズのピントを合わせ、その状態で固定するためにUVボンドに紫外線を照射するというもの。
ひと言で言えば“スジがいい”、それがあたしの出した彼への評価だった。
作業スピードこそ、まだまだあたしの足元にも及ばなかったけど、でも正確な作業でミスらしいミスもほとんどない。
だから、あたしのほうからアドバイスできることは何もなかったし、また彼のほうからあたしに質問してくることもなかった。
彼の一挙手一投足を監督しながら思った…、
“何も教えなくても作業をこなせるのはいいけど、これじゃ、あたしの仕事が何もない…”
…って。