恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
「…!」
ふと作業台の上を見ると、カメラユニットに組み付ける小さな部品の一つが残り少なくなっているのに気がついた。
早速、彼のために、その部品を持ってきてあけることにしたあたし。
だけど、作業台の上に置こうとして手を滑らせたあたしは、100コ近くもある小さな部品を全部床の上にブチまけてしまった。
慌ててその場にしゃがみこんで1コ1コ拾い集めていると、いつの間にか彼も拾うのを手伝ってくれていた。
“へぇ、意外と、やさしいんだ……”
そのときはとっさのことだったし、「ありがとう」のひと言も言えなかったあたし。
それなのに、全ての部品を拾い終わると、自分のやった親切を誇るわけでもなく、彼は黙って微笑むと、まるで何事もなかったみたいに本来やるべき作業に戻ってしまった。
そして彼は就業時間が終わるなり、誰とも話さずに一人で帰ってしまい、結局、その日はロクに会話もないまま月曜日の全ての仕事が終わってしまった。
それでも胸に下げた名札から、彼が“渋谷祐二”という名前であることだけは知ることができた。
ふと作業台の上を見ると、カメラユニットに組み付ける小さな部品の一つが残り少なくなっているのに気がついた。
早速、彼のために、その部品を持ってきてあけることにしたあたし。
だけど、作業台の上に置こうとして手を滑らせたあたしは、100コ近くもある小さな部品を全部床の上にブチまけてしまった。
慌ててその場にしゃがみこんで1コ1コ拾い集めていると、いつの間にか彼も拾うのを手伝ってくれていた。
“へぇ、意外と、やさしいんだ……”
そのときはとっさのことだったし、「ありがとう」のひと言も言えなかったあたし。
それなのに、全ての部品を拾い終わると、自分のやった親切を誇るわけでもなく、彼は黙って微笑むと、まるで何事もなかったみたいに本来やるべき作業に戻ってしまった。
そして彼は就業時間が終わるなり、誰とも話さずに一人で帰ってしまい、結局、その日はロクに会話もないまま月曜日の全ての仕事が終わってしまった。
それでも胸に下げた名札から、彼が“渋谷祐二”という名前であることだけは知ることができた。