恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
でも全くの平然を装って答えるあたし。
「これですけど……」
「ちょっと貸してもらってもいいですか?」
「はい…」
彼からユニットを受け取って、よく見てみるとレンズの内側に指紋がベッタリと付いているのが分かった。
レンズの取り付け工程は眞鍋さんの担当だ。
どうやら指で触ったレンズの指紋を拭き取らずに、そのまま取り付けてしまったらしい。
「担当の人に言って、もう一度、組み直してもらったほうがいいと思います」
「じゃあ、そうします……」
「はい」
あたしがユニットを返すと、彼はそれを受け取った。
いや、あたしにしてみれば“受け取ってくれた”という心境だった。
でも、その日もそれ以上の会話はなかった。
それでも、いつもはなれなれしくて、ちょっとウザいとさえ思ってしまう眞鍋さんが、指紋ベッタリの汚いレンズを流したおかげで、彼と会話をするきっかけができたワケだから、あたしは眞鍋さんの頭を“いいこ、いいこ”して、なでてやりたい気分だった。
「これですけど……」
「ちょっと貸してもらってもいいですか?」
「はい…」
彼からユニットを受け取って、よく見てみるとレンズの内側に指紋がベッタリと付いているのが分かった。
レンズの取り付け工程は眞鍋さんの担当だ。
どうやら指で触ったレンズの指紋を拭き取らずに、そのまま取り付けてしまったらしい。
「担当の人に言って、もう一度、組み直してもらったほうがいいと思います」
「じゃあ、そうします……」
「はい」
あたしがユニットを返すと、彼はそれを受け取った。
いや、あたしにしてみれば“受け取ってくれた”という心境だった。
でも、その日もそれ以上の会話はなかった。
それでも、いつもはなれなれしくて、ちょっとウザいとさえ思ってしまう眞鍋さんが、指紋ベッタリの汚いレンズを流したおかげで、彼と会話をするきっかけができたワケだから、あたしは眞鍋さんの頭を“いいこ、いいこ”して、なでてやりたい気分だった。