恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
「え、はやく言ってよ」

「………」

「え、なに?」

「………」

「せっかく、こんなところまできたんだから遠慮しないで言ってよ」

「あの……あたし……実は今、職場に気になってる人がいて……」

「へぇ、誰?」

「えっと……」

「ここまで言ったんだから、言いなよ」

「うん……」


あたしは少し息を吸い込むと、覚悟を決めてついに言った…、

「……渋谷さんだよ……」

…って。


「へぇ、渋谷くんか」

「眞鍋さん、渋谷さんと仲がいいみたいだし、眞鍋さんに相談するしかないって思って」

「なるほどね。でも俺もまだそれほどなかよしってわけじゃないよ。…っていうか、渋谷くん、奈央ちゃんの弟子でしょ? 師匠の頼みなら何でもきいてくれるんじゃね?」
< 53 / 106 >

この作品をシェア

pagetop