恋合わせ －私じゃ…ダメなの？－

「いや…そんな……」

今度は耳まで熱くなるのを感じた。

「とりあえず、今、渋谷くん、カノジョはいないみたいだよ」

「えっ、本当ですか！？」


ラッキ～っ♪♪


「まぁ、今はとにかくがんばって話しかけてみるようにしたらいいんじゃね？」

「でも、なに話したらいいのかな？」

「なんでもいいんじゃね？　学生時代のハナシでも、前の職場のハナシでも」

「前の職場のハナシか……。そーいえば、渋谷さん、工場で働く前はどんな仕事をやってたのかな？」

「前はバイク屋さんでバイクの整備の仕事をしてた、とか言ってたけど」

「そっか。それで手先が器用なんだ」

「でも彼はあのとおり口数が少ないから、まわりの人に誤解されることも多かったらしくて、バイク屋さんのご主人ともあまりうまくいってなかったみたいで、結局その店を辞めちゃったらしいよ……」

「へぇ…。ひょっとして、そのときのことが原因で、渋谷さん、他人と関わり合うのを避けてるんじゃ……」