恋合わせ　－私じゃ…ダメなの？－
ゲーム５ 「あたしのＪ（ジャック）」
その日は１３日の金曜日。

そして、二週間という渋谷祐二の新人教育のタイムリミットの日でもあり、あたし的にはそーいう意味で特別な金曜日だった。


でも、そのことがプレッシャーになって、せっかく少しずつ彼に話しかけられるようになっていたのに、また出逢ったばかりの頃みたく、今日は朝からひと言も話しかけることができなくなってしまっていた。


来週から職場が変わってしまえば、自分のほうから歩いて行って彼に話しかけるなんてことは多分あたしはしないと思う。

だからこそ、そばにいられる今日のうちに、なんとかしなくちゃいけないんだけど……。


…とはいえ、出逢ってからまだ二週間しか経っていない現況で、いきなり…

「付き合って」

…なんて言うつもりなどは毛頭なかったし…、

「職場が変わっても、ときどきは逢って話とかしたい」

…くらいのことを言うつもりでいたんだけど。


それでもソレは告白には違いなかったし、想像を絶するプレッシャーがあたしの唇を何百万トンもの重さにさせ、ビクともしない“開かずの唇”に変えてしまった。

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表紙・目次

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