放課後ドロップ
 人の気配と可愛らしいころころとした声が鈴が鳴るようにして名前を呼ぶ。


「笹塚くん」


 その声だけがやけにはっきりと聞き取れたのは、もしかしたら不運なのかもしれない。

 声の主はおそらく同学年の織原冴子さんのものだ。
 どうしてここに居るのだろう、と思いつつ壁に隠れて背をもたせ掛けた。


 ドキドキと弾む心臓が、
 じわりじわりと競り上がってくるようで居心地が悪い。
 

 別に隠れる必要はなかったんだよ、そうだよ。


 そう思いつつも、嫌な予感がじわじわと足元を掬うように押し寄せて来る。
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