放課後ドロップ
 軽い話をしているようだけれど、空気がピリピリとしている。


「あの、ね?」


 途切れて聞こえた、話を変える合図。


 どう、しよう。


 戸惑う自分が確かにそこにいて、
 今にも駆け出して会話を遮ってしまいそうだ。


 途切れ途切れに耳に届く言葉に、耳を塞ぐ。


 けれど完全に塞ぐ事も出来ないから、
 余計に途切れて音が届く。


 きゅっと目をつむった。


 見えてもいない彼女と、

 壮ちゃんの姿が瞼をスクリーンにして映る。
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