放課後ドロップ
裏庭へと走り、ベンチが見える位置に来てようやくスピードをゆるめる。
むしろ、忍び足だ。
気付いて欲しいということも、ほんの少しはあるのだけれど、居眠りの邪魔はしたくないなあ、と考えてしまう。
ローファーが砂を踏んでじゃりりと音を立てる。
一瞬はっとなるがそれでも気付く気配……いや、起きる気配がないので、きょろきょろと周囲の様子を伺ってからもう一度彼の方を見てそれから、ゆっくりと深呼吸をして彼の隣に腰を下ろした。
さわさわと風にすれる葉の音が、秋の訪れを告げるようで少し切ないけれど。
木陰で気持ちがいいな。