〜うちのバストの秘密〜
…教室に足を踏み入れて教室を見渡すと、
想像通りすぎる光景。
どんなに目立たないように静かに扉を開けたとしても、
水を打ったように静かな教室内には、ガラガラという音が響かないわけがない。
HRにいたクラスメイトのうち、
おそらく皆が皆こっちに、うちの方に、視線を向けただろう。
この時の気まずさと恥ずかしさと言ったら…
「ごきげんよう。」
先生にポツリと一言挨拶をして、
なるべく俯きながらいそいそと自分の席に向かう。
…最悪なことに、うちの座席は教室のまん真ん中。
当然、席に着くまでに色んな人の机と椅子の細い間を通り抜けなきゃなんないわけで。
「早く座んな夕花!」
「何、寝坊?」
「遅刻すんなんて不良だ不良〜」
…皆の心配する声、からかう声、それと好奇の視線などが一気に飛んでくる。
ざわめき出した教室をなだめるように、
「木崎さん、遅延ですか?」
…先生が冷静な声で問い掛けてくる。
「…や、あの、まぁ。
そんなとこです。」
「そんなとこ、って何だよ〜!」
ムードメーカーの男子がツッコミを入れた瞬間、クラスがドッと笑いの渦に包まれる。
…多分、今のうちの顔は火を噴くくらい真っ赤だと思う。