〜うちのバストの秘密〜
…あぁ、そうだな。
子供の頃…、保育園の年長さんだった年だから…
…そう、六歳の時の話だ。
6月7日、六歳になった日。
何曜日だったかは忘れたけど
保育園に行ったってことは多分平日で…、
うちのことを保育園に送り届ける前の朝のリビング。
いつも通り、お父さんとお母さんとうちの三人で朝食を食べてた。
…もうそろそろ保育園に行く時間って時に、
ソファーに腰かけて、
コーヒーに口をつけながら新聞を読んでいる父に、夕花、と手招きされた。
朝は低血圧であまり話しかけてこない父なのに、と
少し不思議に思いながら父の側まで駆け寄ると、
父は何やらソファーの下を覗き込み、
手を伸ばしてお目当てのモノを、
よっこらしょ、っと
半ばうめき声に近い掛け声をあげながら取り出した。
父の腕に抱え込まれていたのは
綺麗にラッピングされた直方体の形をした箱だった。
子供ながらに、それが自分への誕生日プレゼントだと悟り、
内心では興奮しながらも、知らんぷりをして
「お父さん、それなあに?」
なんて無邪気に聞いたりした。