暁に消え逝く星


 しかし、そんな日は、来なかった。

「――」
 杯を持つ手に、我知らず力が入る。

 優しい優しいリュマ。

 弟のように思っていた。
 ならず者の自分を恐れることなく接してくれた。
 賢い子どもだった。
 あの子と話すのが好きだった。
 だが、思い出さえも、もはや残酷だ。
 一番楽しかった時を、覚えていたかったのに。
 あの子の笑った顔、一生懸命話していたときの顔、自分の話を瞳を輝かせて聞いていた顔――そんな、幸せな時だけを。
 男の思いとは裏腹に、思い出は全て、最後のあの瞬間に塗り潰されてしまう。

 そう、今でさえ、あの瞬間へ――



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