暁に消え逝く星

 こんなにすぐに見つかるとは、思ってもいなかった。
 外には出してもらえないとしても、手紙と仕送りだけは欠かさなかった姉が、急に手紙も仕送りもしなくなったのだから、病気にでもなったか、最悪、主人の不興を買って殺されてしまったかとでも思っていたのだ。

 生きて働いているのなら、なぜ――

 その時、女はこちら側を向いた。
 女の顔が、男からも見えた。

 淡い月明かりの下でさえ、美しい女だとすぐにわかった。

 本来、皇族の目にとまり、愛妾として召されても不思議ではないほどに。
 今年で二十歳だと聞いていたが、華奢な体つきが歳よりも若く、思わせている。
 そして何より、弟とよく似ていた。
 見間違えることなどありえないほどに、眼差しや唇の形、顔の輪郭が、似ていた。
 リュマも生きていたなら、背の高い、端正な面立ちの若者になったことだろう。
 小さなため息の音が聞こえた。
 男が我に返る。
 暗闇に頼りなげに立っている女の瞳には、強い意志がみてとれた。
 男は様子を伺いながら、女へ近づいた。



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