暁に消え逝く星

「待って――手紙が渡っていないとしたら、お金も渡っていなかったのね。じゃあ、あの子は、この半年、どうやって暮らしていたの?」
 女は嫌な予感に身を震わせた。
 目の前の男は、警備の厳しい皇宮にその身一つでやってきたのだ。
 もしも見つかれば生命はないというのに。
 そうまでしてやってきたということは、何かただならぬことが起こったに違いない。
「リュマに、何かあったの? あの子は、無事でいるの……?」
 最後の言葉は頼りなげにそっと響いた。
「――」
 蒼白な女を見つめながら、男はその時が来たことを知った。
 生きているとは思わなかった少年の姉を見つけて、男のほうも動揺していた。
 少年が姉を愛していたように、姉もまた、弟のことを案じている様子がありありとわかった。
 そんな女に、できることならば告げたくなかった。
 だが、言わねばならなかった。
 残酷な真実を。

「リュマは、死んだ――」


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