暁に消え逝く星

 カリナが持って帰ってくる、二月に一度の弟からの返事だけが、心の慰めだったのだ。
 それなのに、この半年、カリナが手紙を持っていっても、返事はなかった。
 カリナは行っても家におらず、手紙と金を扉の下の隙間に押し込めて戻ってきたと告げる。
 最初は、すれ違っただけだろうと思っていた。
 休みごとに様子を見に行ってもらっても、金と手紙はなくなっていると言われたからだ。
 もし何かあったのなら、連絡がくるに違いないから。
 何の連絡もないのなら、ちょうど都合が悪くて会えなかっただけだと自分に言い聞かせた。
 生きているのなら、それでいい。
 あと少しでここでの奉公も終わる。
 今日も夜明けを待つように、ひたすら祈っていた。
 早く、弟のところへ帰れますようにと。
 終わったら、弟にしてやりたいことがたくさんあった。
 この二年で、きっと背は大きくなったに違いない。
 新しい服を、作ってやらねば。
 この二年、給金をもらっても弟の仕送り以外使うことはほとんどなかったから、戻って新しい仕事を見つけるまでは、半年は余裕で二人で生きていける。
 最後に見たとき履いていた古い靴は仕立て直して、新しい靴も買おう。
 あの子は本を読むのも大好きだから、新しい本も買おう。
 ここで覚えた珍しい料理も作っておなかいっぱい食べさせてやりたい。
 もう十歳になっている。
 会えなかったこの二年の空白を埋めるように、たくさん話をしよう。
 それこそ、夜が明けるまで。

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