暁に消え逝く星

 小路に入り、皇宮の門へと女は向かう。
 走り抜けたところで、門前の広場の横に出た。
 左側には、神々の末裔と称される皇族の住まう美しい皇宮殿。
 右側には外へと出られる大きな門が。
 広場を挟むように皇宮殿にまっすぐ流れる水路に架けられた橋を渡って、女は迷うことなく門へと走る。
 大きな門は、閂が下ろされていた。
 門前には二人の見張りが立っている。
 脇に備えられたかがり火が門の周囲だけを明るく照らしていた。
 女は門番達に駆け寄って行った。
 突然現れた女に、門番達はぎょっとしたが、

「お願いです、扉を開けてください。外へ出なければならないの。弟が死んだの。あたし、あの子の魂を送ってあげなければ!!」

 そう叫ばれて、ますます困惑したように顔を見合わせた。
「どこの侍女だ? 聞いていないのか。戒厳令が出ているんだ。誰も通してはならないんだ。誰も出してもやれない。聖皇帝様直々の発令だ。出たいというなら、聖皇帝様の許可をもらってから来い」


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