暁に消え逝く星
表通りに着いて、通用門のある裏手に回る角を曲がろうとしたところで、
「おい、お前達。こんな時間に何をしている」
見回りの兵に出くわした。
男はゆっくり振り返った。
松明を持った皇宮の衛兵が四人、こちらを見ている。
どうするか、一瞬男は迷った。
斬ることはたやすいが、表通りではまずい。
男の逡巡を断ち切るように、
「彼は主の護衛、私は主の侍女です」
女はすっと男の傍らに出た。
衛兵は美しい女の顔を見て、一瞬驚いたようだが、女の着ている侍女の衣服を見て、警戒心をやや和らげ、気さくな声で問うた。
「主の護衛と侍女がこんなところで何をしている?」
「逢引か?」
からかうような男達の声。
「――そうなの」
女は淀みなく応えた。
「彼、今日で主の護衛を終えて、別のお屋敷に行くことになったのよ」
男達の好奇の目に応え、女は傍らの男の腕に腕を絡めて寄り添った。
「私達、これが最後の夜なのよ。だから、二人きりになりたかったの。お願い、これが大事になったら、私も彼もひどくしかられてしまうわ」