暁に消え逝く星
第五章
視線
最後の準備も順調にいき、結局シバスを出発したのは四日目の朝だった。
ここからは様々な丘陵が続く。
しかも、広大な乾燥地帯に湿地帯と森林地帯が点在するため、さらに道がうねる。
出発した最初の日は、予定通りに午後には野営場所へと着いた。
リュケイネイアスが、用心のため、剣の稽古にはアウレシアだけでなくアルライカとソイエライアを交互につけるよう指示したので、今日はアルライカを含め、三人で野営場所から少し離れた丘陵の影へと行く。
以前の約束通りアルライカと稽古をつけられることをイルグレンは喜んだ。
その様子に、アルライカもつられて笑った。
「準備はいいのか?」
「ああ。頼む」
しかし。
ほんの数分でイルグレンの剣はいとも簡単に弾き飛ばされた。
「――」
「どうした?」
「――なんだ、その強さは!? 反則だろう!?」
真面目に、イルグレンは怒った。
「そんなこと言われてもなぁ」
「だから言ったろ? べらぼうに強いって」
アウレシアが笑って、イルグレンに剣を渡す。
それから、イルグレンに小さく耳打ちする。