暁に消え逝く星

 仲間らしい気軽さを、見ているととても羨ましく思う。

 場数を踏む。

 そうできたら、自分もいつかアルライカのように強くなれるのだろうか。
 だが、自分には時間がない。
 この旅が、終わるまでなのだ。
 自分に許された時間は。
 そして、不意に気づく。

 西に着いたら、自分は――?

「――」
 そんな物思いに囚われて、イルグレンは気づくのがほんの少し遅れた。

「グレン、俺の後ろ見るんじゃねぇぞ」

 低く短く言い捨て、それから、
「――少し休もうぜ。疲れて眠くなってきた」
 いつもの調子でアルライカは大きくのびをした。
「そうしようか」
「ああ――」
 気安く言われた科白だ。
 だが、目が笑ってはいない。
 突然の違和感に、一瞬戸惑うが、その理由にようやく気づいた。
 アルライカの大きな身体に遮られた向こう側。

 誰かが、見ている――



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