暁に消え逝く星
アルライカは視線を感じる方角の反対側の木陰へと二人を促す。
アウレシアとイルグレンもそれに従い、移動する。
三人が木陰へ座り込み、隠れるまで視線はついてきた。
間違いない。
誰かがこちらの様子を窺っているのだ。
逞しい体も隠してしまうほどの太い幹に背を預けて、アルライカは低く呟く。
「殺気がない――」
アウレシアも頷く。
「ああ。だから、おかしい。見張ってるだけみたいだ」
「私を探しているということか」
「まだわからんが、すぐには戻れねぇな。今のお前じゃ遠目からじゃ護衛と区別はつかないだろうが、今戻ってもろくなことにならん」
しばらく彼らも、休む振りをしてこちらを窺う者の気配を探った。
近づいてくる気配は全くない。
しかし、不意にそれはなくなった。
本当に突然だった。
そうして、気配は消え、もう、戻ってこなかった。
さらにしばらく、三人は待った。
「――戻ってこねぇな」
呟くと、アルライカは素早く立ち上がり、気配が消えたほうに向かって走り出した。