暁に消え逝く星
イルグレンもすぐに後を追おうとしたが、
「――ライカが呼ぶまでは駄目だ」
アウレシアの短い声に止められる。
「――」
納得のいかぬ気持ちが表情に表れていたのだろう。
少し呆れるようにアウレシアは笑っていた。
「あたし達はあんたの護衛だよ。危険なとこに行かせられる訳ないだろ」
「だが、私は自分の身は自分で守りたい」
「それは、最後の手段だろ。剣の稽古をしてるのは、真っ先に危険に飛び込んで行くためじゃない。何のためにあたしらが雇われたと思ってんのさ」
「レシア、来い」
遠くからアルライカの声がした。
「行こう」
アウレシアも立ち上がる。
二人が走っていくと、アルライカは渋い顔をして立っていた。
「何かあったかい?」
「――全くない。確かにここのはずだが、慣れた奴だな。跡を残さないよう気をつけてる」
「一人だから、あきらめたってことか」
「かもな。とりあえず戻るか。ケイに言って指示をもらおう」