暁に消え逝く星
「ソイエの動きは、アルライカとも似ているようで少し違う」
息を整えながら、そう言う。
少し驚いたようにソイエライアはイルグレンを見つめた。
「――俺とライカの動きが、似ているとわかるのか?」
「似ていると思ったが、間違いか?」
「なぜ、そう思った?」
「――うまくは言えんが、剣を弾かれるときの力の溜め具合や、次の攻撃に移る間合いが似ているような気がする」
ソイエライアはふむと考え込んで、それからイルグレンの頭を撫でた。
「ライカの言ったとおりだ。戦士としての素質があるな」
「本当か?」
「ああ。惜しいな。皇子じゃなければ誘いたいくらいだ」
ソイエライアが唇の端を上げて笑う。
その時。
「ソイエ、来たよ」
今まで動かなかったアウレシアの声が聞こえた。
「ああ、わかってる」
イルグレンも遅れて気づいた。
人の気配が近づいてくる。
「昨日とは違う。殺気だらけだ」
「昨日とは別なのか、偵察と本業が違うか、だな」
先程までの穏やかな顔つきが一瞬で変わる。
「グレン、確実に一撃で仕留めろ。情けはかけるな」
そうして、すらりと剣を抜きなおす。
「お待ちかねの実戦だ。斬らなきゃ斬られる。死にたくないなら殺せ。俺達は手助けするだけだからな」