暁に消え逝く星
最後の一人が倒れたとき、アウレシアはイルグレンへ目を向けた。
「グレン、怪我は?」
「ない。大丈夫だ」
振り返らずに、イルグレンは答えた。
肩が揺れて、息が上がっている。
周りを見れば、死体だらけだ。
生きている気配はないか見回すと、視界の端に、動いているものを捉えた。
逃げようとしたのか、茂みへと這って向かうところの男の脚を、戻ってきたソイエライアが踏みつける。
それから、身体を引き上げ、手近な木の幹に押し付けた。
血で濡れた腹部を押さえて、男は呻いた。
「脇腹を刺されたんだ。死ぬまでにはまだ時間がある。その前に、懺悔してから冥府へ行け」
低く冷たく、ソイエライアの声が響く。
「誰に雇われたか言え」
「――」
ぎり、っと奥歯を噛みしめる音がした。
「!?」