暁に消え逝く星

「グレン」

 名を呼ばれて、身体が震えた。
 ゆっくりと振り返る。
 アウレシアとソイエライアが自分を見ている。
「……レシア」
 言葉は、震えて漏れた。
「グレン、しっかりしな。呆けてる場合じゃない」
「――レシア」
「あんたは生きるために殺したんだ。悪いことじゃない。あんたは最後まで生き残らなきゃ。そうだろ」

 そうだ。
 生き残らねば。
 自分の代わりに命を落とした母の分まで。

 そう言い聞かせて、今まで生きてきた。

 だが、そのせいでもっと多くの命が失われるのだとしたら?

 何のために生き残る?
 誰のために生き残る?
 どうしてそれが、自分であらねばならないのだ?
 自分が生きるために死んだこの刺客達より、自分に生きる価値があるのか――?



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