暁に消え逝く星

 答えの出ぬ問いが、頭の中で繰り返し自分を苛む。
 そして、殺しながら、気持ちは高揚していた。
 命を奪うことを躊躇いながら、もう一方で自分の命を一方的に奪おうとする者に対する、ずっと長く溜めていた怒りが、昇華されたような――そんな高揚感を感じたのだ。
 そう。
 自分はずっと怒りを感じていた。
 命を狙われ続けるこの境遇に。
 自由に生きていけない身分に。
 だから、嬉しかった。
 我慢しなくていいことが。
 だから、喜んだ。
 怒りのままに、人を殺せたことを。
 そんな自分が、どうしようもなくひどい人間に思えた。
 それまで、不満など感じたこともなかったのに。
 生きていられるだけでありがたいと思っていたのに。
 心の奥底では、全く違うものを抱えていたのだ。

 産まれたことを感謝していた。
 生きていくことを呪っていた。
 そのままでいたかった。
 全てを破壊したかった。
 生きたいと切望した。
 死にたいと絶望した。

 相反する感情に、混乱する。
 息ができない。


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